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【symphonic rain】ファルについて

 こんにちは。シンフォニックレインはどのキャラ、どのルートも好きなのですが、そのなかでもとびっきり好悪の分かれるだろうファルについて書いていきます。私はめちゃくちゃ好きなのですが、嫌いになる人の気持ちもわかります。しかし、少しでもファルが好きな同士が増えることを願って、私がファルに関連するシナリオで思ったことを書いていこうと思います。

 ファル√を中心に、プレリュードやショートストーリー、他のルートで判明することなども含めて書きますので、シンフォニックレインのストーリを一通り目を通してから読んでいただけると幸いです。

 

プレリュードは以下のリンクの『Novel』から

www.kogado.com

 

ショートストーリーは新普及版の特典や、工画堂スタジオのnoteから

note.com

 

 

ファルの役割とは

 ファルの2曲目のテーマ曲である『メロディー』には

居場所はどこだろう

私の役割は何?

とあります。まずはここに着目してファルのシナリオ上での役割について考えていきます。

 ファルは「比翼連理」を意識したキャラではないかと思います。比翼連理は比翼の鳥、連理の枝の2種類の男女の仲睦まじい様子をさす言葉から成り立っています。比翼の鳥は左右一対ずつ片翼の鳥が二羽一対となって飛ぶ様子、連理の枝は二本の木の枝が繋がった様子から、男女の仲睦まじい様子を例えた言葉となっています。この男女仲睦まじいという部分は無視するとして、二羽一対や、二本で繋がった様子そのものがファルとそのパートナーなんじゃないかと思います。このパートナーは、ゲームシナリオ上ではクリスですし、イカサマコインから続くショートストーリーではリセが当てはまります。(アーシノ……)この比翼連理を連想させるシーンはいくつか描写されています。まず、ファルが卒業演奏後にクリスの決断を聞くシーンは、いつもの練習室からわざわざ枝葉の絡み合う樹の下へ移動しています。次に、1対の翼のペンダントの片方をゲームシナリオ中ではクリスに託し、イカサマコインではリセに託しています。この翼を託しているシーンは、比翼の鳥のように歌手とフォルテール奏者は2人でなければ羽ばたいていけないということを思わせます。また、イカサマコインで出てきたイカサマ用のコインは裏だけ、表だけのコインでした。コイントスをするのであれば、コインは裏表がなければ成り立たず、このイカサマ用コインは使い方からして片方だけではイカサマすることもできないので、2つで1セットとなります。賭けをしたあとにリセに表だけのコインを渡していました。リセが表、ファルが裏の面のような存在であるということと同時に、どちらかだけでは不十分であり、コイン2枚でようやく役割をもつものとなるということだったんだと思います。

 フォルテール奏者にとっても声楽パートを担当するパートナーは重要です。フォルテールの音色には感情に起因するものがあり、詩によって感情を表現する声楽と相性がいいとされています。フォルテール科の生徒は誰でもいいので声楽を担当するパートナーと組むことが必須となります。対して、声楽科はパートナーが必須ではありませんが、フォルテール科と組むことがプロへの近道とされています。ファルのプロになるという夢を叶えるにあたって、ファルの歌声を引き立てられるフォルテール科の生徒と組むことはほぼ必須といってもいいでしょう。このように、歌手にとっても、フォルテール奏者にとってもパートナーが肝心要であるということを感じさせる要素が多くあります。このフォルテール奏者にとって歌手が切っても切り離せない重要な存在ということを認知させるのがファルの役割だったのではないかと思います。このシナリオで音楽家としてパートナーが重要であると認識した上でグランドエンドのこと考えると、歌うことの苦手なアルと結ばれることでクリスは幸せを掴み取るということが、どれほど特別なことなのかがより強調されるのではないでしょうか。

 

歌うことへの純真すぎる思いと裏切り

 演奏会前日のクリスに対する裏切りは、クリスの音の魅力であった「悲しみ」の音色が、ファルと過ごしていく中で幸せを感じてしまったことにより失われたため、それを取り戻すためです。クリスの感情の乗った音を取り戻すには、これしか選択肢がなかったと思われます。トルタ√でコーデル先生によって提示された幸せの絶頂の気持ちが乗った音となるにはアルとの決別に決着をつけねばならず、それには時間が足りないでしょう。もしも悲しみの音を取り戻すことなく中途半端な状態の音で演奏することになれば、それまで積み重ねてきた努力はすべて水泡に帰すことになってしまうので、ああする以外には選択肢はなかったと思います。やったことは到底許されるものではないでしょうが、ファルにとっては一度しかないチャンスをふいにすることもできないはずです。あの裏切りはそれほどまでのプロになるというファルの決意が表れたイベントだったと思います。これにより、クリスは卒業演奏会で迷い、悲しみ、怒りの入り混じった音色を奏でつつ、完璧な演奏をすることができました。そしてファルは練習では一度しか体現できなかった「幸せになりたい」という真っ直ぐな想いを声にのせることができ、複雑な心境であったクリスの心をも揺さぶりました。

 このように、プロの歌手になるために、クリスにも隠し通したかった本心をさらけ出して他のことをすべて捨てることになっても厭うことなく、夢のためには一切妥協しませんでした。このプロの歌手になるという夢は、歌を歌って生きていきたいという純粋な気持ちに起因し、「ヒロインや親友ポジのキャラが主人公のため」に手を尽くすことやその逆のものは数多くありましたが、ここまで徹底的に「ヒロインがヒロイン自らのため」に徹底的に手を尽くすというのは鬼気迫るものがありました。エゴもここまで突き通すとなんて魅力的なんだろうと。

 

結局ハッピーエンドなのか

 ファル√からクリスがフォーニ√やal fineのように幸せを掴むことはないと思います。卒業演奏後にクリスたちの街に行くときは、一時的に晴れました。しかし、エピローグでは「雨の街」に戻っており、雨の幻影は止むことがありませんでした。学院ですごした3年と同様にアルに関しての記憶を封じてしまったのか、あるいすべて思い出した上で悲しみを背負いつつもファルと歩んでいっているかは定かではありませんが、結局の所、クリスの悲しみは消えなかったということではハッピーエンドとは程遠い終わりでしょう。悲しみを乗り越え幸せを掴むという点では救われませんが、クリスが音楽家として大成する可能性が高いシナリオだとも考えられます。彼の魅力である悲しみの音色を失うことはありませんし、実力は申し分ないファルがともにいるので、そういった意味では悪くないし、音楽家としての道を歩んでいく上ではいいのではないでしょうか。

 

 いろいろとめちゃくちゃで、うまくまとめることができてない拙い文章で、ファルの魅力を伝えられたかわかりませんが、今一度ファルの魅力を見直すきっかにでもなったら嬉しいです。